高齢者の介護保険料滞納で預貯金が差し押さえ、その数が増えています...
介護保険料を滞納して、預貯金や不動産といった資産の差し押さえ処分を受けた65歳以上の高齢者が増えていると報じています。
2018年度は過去最多の1万9221人にのぼったことが、厚生労働省の調査でわかりました。
65歳以上の保険料が介護保険制度が始まった2000年度から約2倍に上昇していることも影響したとみられます。
調査は全国1741市区町村が対象で、差し押さえ処分を受けた人は2014年度に初めて1万人を超え、2017年度は1万5998人でした。
介護保険に加入している65歳以上の人は、2018年度末で3525万人、このうち9割は年金から介護保険料を天引き(特別徴収)されていますが、残り1割は年金額が年18万円未満で、保険料を納付書や口座振替で支払っています。
差し押さえとなる高齢者は、この納付書や口座振替で支払う「普通徴収」の人たちです。
生活保護を受ける人は、生活保護費に介護保険料が加算されて支給されます。
差し押さえを受ける人は、生活保護は受けてはいませんが、受け取る年金がわずかで保険料を払えなくなった人が多いとみられます。
保険料は40歳から支払いますが、未収の保険料は65歳以上の分だけで約236億円(2018年度)にのぼるとのことです。
65歳以上の介護保険料は3年に1度見直されますが、高齢化で介護保険の利用者が増えるのに伴って保険料の上昇が続き、2000年度は全国平均で月額2911円だったものが、2015年度には5514円、2018年度からは5869円になりました。
団塊の世代がすべて75歳以上になる2025年度には7200円程度になると見込まれています。
これだけ差し押さえの数が増える背景には、政権による徴収強化にあります。
「負担の公平性」のもと、減免や分割など個々の状況に対応しようとする姿勢を見せてこなかったことにあるようです。
現場では、対応が、いわゆる「機械的」になっているようですね。
滞納の場合は延滞金が加算され、それだけではなく、場合によっては被保険者証のかわりい「資格証明書」が交付され、医療費の窓口負担では、いったん全額自己負担になってしまいます。
払いたくないわけではなく、サービスを受ける資格を放棄しているわけではありません。単に、払えないのです。払うだけの収入がないだけです。
これは報道では大きく取り上げられないですが、コロナ禍ではさらに深刻なことになりそうな社会問題であるという認識が必要です。
弱者救済のセーフティーネットの充実は、何よろも優先されるべきではないでしょうか...