Sheel Report ~ 3分で読める時事解説

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地位協定を考える~なぜ日本はこんなに立場が弱いのか...(2)

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日米地位協定 合意議事録

合意議事録の存在

日米間の米軍基地をめぐる協定といえば、日米安全保障条約(通称「安保条約」)日米地位協定(成立当初は「日米行政協定」)があります。

安保条約は、米軍の日本駐留を保証したもので、日米行政協定(後の日米地協定)は、駐留米軍の特権について定めたものという位置づけになっているのです。

どうして戦争が終わっても、米軍は日本に駐留し続けるのか...

それはご存知の通り、冷戦時代での対共産主義国への備え、アジアで共産主義力に対抗するための拠点として、米国が日本を必要としたからだとされています。

じゃあ米ソ冷戦が終わった今、米軍が日本に駐留する理由は、いったいどこにあるのでしょう。

確かイラク戦争の時、日本の基地から米軍が飛び立った記憶がるのですが、これって、冷戦は関係ないですよね。

有事に備える...?
有事とはなにか...?
仮想敵国の存在?中国?北朝鮮

米軍が日本の駐留する理由としてソ連がなくなっった今、新たな仮想敵国が必要になってきました。

日本海にミサイルを打ち込んでくる北朝鮮なのか、それとも香港との緊張関係にあり、台湾有事を彷彿させる中国の存在なのか...

この問題は深みにはまりそうで、見る角度によっては違う景色が見えてくるものになりそうなので、この話題は本文の外で語ったほうが良さそうですね。

 

話を日米地位協定に戻しますが、この日米地位協定の本質に関しては、琉球大学の山本章子准教授は、テレビ番組や記事などで「合意議事録」の存在を強く訴えておられます。

SYNODOSに投稿された山本准教授のコラム「誤解だらけの『日米地位協定』」(2020.5.19)に、こう書かれています。

一言でいうと、日米地位協定の本文に反して、それ以前の日米行政協定で規定されていた、在日米軍の特権を温存する日米合意です...

と、日米地位協定議事録の存在を紹介しています。

https://synodos.jp/opinion/international/23260/

安保条約や日米地位協定は調印後に国会で審議されるものですが、日米地位協定合意文書は国会に提出されないので、誰もその存在を知ることはないのです。

コラム記事の抜粋です。

岸信介首相のもと、動員された警察官500人が社会党議員を排除、自民党による強行採決で新安保条約と日米地位協定は可決されます。岸内閣への批判と退陣要求が全国で沸き上がり、安保闘争に発展します。結局、1960年6月19日に条約と協定が自然承認されると、岸内閣は総辞職しました。その4日後、日米地位協定合意議事録はひっそりと、官報号外に掲載されたのみでした。

この知られざる日米地位協定合意議事録は、日米地位協定の本文より重要です。協定本文ではなく合意議事録にしたがって、日米地位協定が運用されているからです。

~中略~

合意議事録では、日米地位協定の規定とは逆に、日本当局が「所在のいかんを問わず合衆国軍隊の財産について、捜索、差押え又は検証を行なう権利を行使しない」と、取り決めています...

なるほどね。

日本は、米軍の財産について捜査、差し押さえ、検証を行う“権利を行使しない”ということを、わざわざ明記してあったのですね。

なんで...

表から見える日米交渉と、その裏にあるものとがこんなに違うというのは、一体どういうことなのでしょう。

 

ということは、日米地位協定を改定しても、日米地位協定合意文書がある限り、意味がないのではないでしょうか...

山本章子琉球大学准教授のコラムには、噂の「日米合同委員会」についても触れておられます。

詳しいことは、本文外の居酒屋の席で語るとして、本文では、日米安全保障条約および日米地位協定におけるキーワードを拾っておきます。

岸信介元首相 その流れの清和会と米国の関係
日米地位協定合意議事録
仮想敵国の必要性 そこから見える北朝鮮の動きや中国の存在

日米地位協定は、そもそも日米安全保障の枠内でのものなので、地位協定見直し事態が、日米安全保障にヒビが入ることになりかねけないという日本側の懸念があるから、日米地位協定改定はできないとの指摘があります。

今回の「オミクロン」かぶ感染者拡大を受けて記者団の質問に対し岸田総理は、日米地位協定の過程は考えておりません。こうした事態にあたっても日米の間でしっかり意思疎通を図って現実的に具体的に対応していくことが大事である」と述べています。

日米地位協定の見直しは、やらないそうです。

なるほどねぇ~

歴代政権にとって、日米地位協定の話は“アンタッチャブル”なナイーブな問題なのでしょうね...