Sheel Report ~ 3分で読める時事解説

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国民投票法改正案ってなに?コロナ禍でも憲法改正のための手続き議論が行われています...

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憲法改正 96条

日本国憲法を改正することが党是となっている自民党

その自民党の中でも改憲には慎重派の勢力もあり、自民党内がどの勢力が多数派になるかで、憲法議論は揺れ動きました。

なんのために改憲をするのか
そもそも憲法改正は何を意味するのか...

 自民党の支持母体には、日本会議という組織があります。自民党と近い統一教会とともに作った国際勝共連合も、半共産主義を捧げ、保守勢力を応援しています。

この保守シンクタンクとも言える両勢力は、こそって憲法改正を訴えています。日本の伝統を守るということで、選択的夫婦別姓制度にも反対です。

これらの支持で議員となっている人たちは、彼らの思いである憲法改正を否定することはできません。夫婦別姓をも認めるわけにはいきません。

そこには世論や時代というものは、全く関係ありません。

 

日本会議のホームページを見ると、現行憲法に対して「占領軍スタッフが1週間で作成して押し付けた特殊な経緯をもつとともに、数々の弊害ももたらしている」として、具体的には

自国防衛を他国に委ねる独立心の喪失
権利と義務のアンバランス
家族制度軽視
行き過ぎた国家と宗教分離解釈

を一例として挙げています。

個々の主張と現行憲法との距離感を丁寧に検証する必要はありますが、いずれにしても、今の自民党改憲派が勢力を握っているので、国会内の勢力を維持している間に、なんとか憲法を変えたいと考えているのでしょう。

憲法を変えるには、きちんとした手続きが必要です。

それを定めたのが「憲法96条」です。日本国憲法9章にある唯一の条文で、そこには日本国憲法の改正手続きが規定してあります。

第九十六条
この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを公布する。

 

条文にある通り、今のままでは、憲法改正に必要な手続きのハードルが高いとされていて、それを低くする内容に変更しようとしています。

自民党は、憲法改正を真正面から議論するのではなく、改正手続きを変えるという、テクニックによる改正を進め用としています。

野党は「裏口入学」にたとえて、“姑息な手段”と批判しています。

政権擁護派の論客は、憲法改正を議論するのに、国会議員の3分の2の賛成がなければできないのはおかしいと主張していますが、それだけ憲法の存在が重いということで、わざとその改正手続きのハードルを高くしているという解釈もあります。

国民の行動を規制するのが法律で、その法律を作る人を規制するのが憲法です。

憲法を議論するなら、真正面から、「この国をどのようにしたいのか」を、公の場で話し合ってほしいと思います。

朝日新聞デジタルには、「国民投票」に関する解説記事がありますので、ご紹介します...

www.asahi.com

 このコロナ禍で国民投票法改正案が衆院通過

このコロナ禍で、5月11日、衆議院本会議で、憲法改正の手続きを定めた国民投票法の改正案が、自民・公明両党や立憲民主党などの賛成多数で可決され、参議院に送られました。改正案は、自民党立憲民主党の合意に基づき、今の国会で成立する見込みです。

国民投票法の改正案は、先週6日の衆議院憲法審査会で、立憲民主党の提案に沿って、投票の広告規制などについて「施行後3年をめどに法制上の措置を講じる」と付則に盛り込む修正を行い、自民・公明両党や立憲民主党日本維新の会、国民民主党などの賛成多数で可決されました。

日本維新の会は先週の憲法審査会の採決では修正部分には反対しましたが、11日の採決では賛成しました。

共産党は反対しました。

 

野党がこだわったのは、現行の国民投票法の、投票日前の、賛成又は反対の投票をするよう、又はしないよう勧誘する「国民投票運動」に関する規定です。

投票期日14日前からは、国民投票広報協議会が行う広報のための放送を除き、テレビやラジオの広告放送は制限されるという規定になっていますが、14日前より前の期間では、規制がないままとなっています。

与党が提案する国民投票法改正案では、こうしたテレビやラジオのCM規制のほか、インターネット広告の規制も検討されていないのです。

これは何を意味するかと言うと、資金力によってCM量に大きな差が出るということになります。

お金があれば広告手段をフル活用し、高い視聴率が見込める枠で宣伝されてしまうことを、反対側は懸念しています。

CMは国民の投票行動を大きく左右すると思われます。そこには資金量による差別があってはならない、いろんな状況を踏まえてフェアでなければならないということです。

 

3年前の平成30年に提出された改正案には、公職選挙法に合わせて、国民投票も、事前に決められた投票所以外でも投票可能な「共通投票所」を、駅の構内やショッピングセンターなどに設置できるようにすることなどが盛り込まれています。

改正案をめぐっては、自民党立憲民主党の幹事長が、今の国会で成立させることで合意していて、今後、参議院での審議を経て、6月16日までの今の国会で成立する見込みです...