Sheel Report ~ 3分で読める時事解説

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コンビニ構造が生む“食品ロス”~「3分の1ルール」

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コンビニ 食品ロス

コンビニのおでんが恋しくなる季節になってきました。「レジ横おでん」で親しまれているおでんが、コンビニから消えるかもしれません。

 ファミリーマートは今年に入ってから、レジ横におでんの調理器具を置かず、注文を受けてからレンジで温める「レンジアップおでん」を導入することを決めています。

セブンイレブンやローソンでは、おでん販売に関する方針変更はないとのことですが、加盟店のオーナーに任せるということにしているので、今後販売中止や縮小となる可能性はありそうです。

人手不足
フードロス
収益率

これらの理由が、おでん販売中止の背景にあるようです。

手間がかかるわりには儲からない...

ずっと温度管理のためにおでんのそばにいなければならず、「おでんのネタ」によっては煮る時間が違うので、だしを継ぎ足したり具材を入れ替えたりと、結構手間がかかります。

コンビにでは煮込みすぎたおでんや売れ残ったものは、全て廃棄処分しています。

まだ食べられるのに...

この食品ロスが、大きな問題となっています。

 

コンビニ「食品ロス」問題~3分の1ルール

コンビニやスーパーでは、まだ食べられるのに捨てられてしまう「食品ロス」は、その構造的な体質によるものだと考えられます。

「食品ロス」を減らすために、賞味期限の表示を「年月日」から「年月」に切り替える動きが広がり始めました。

たとえば、賞味期限が「2020年12月1日」の商品も「2020年12月31日」の商品も、2020年12月」に表示を統一して前倒しします。賞味期間は最長で約1カ月短くなりますが、商品の到着が遅れて賞味期限が一日前後しただけで返品や廃棄することがなくなり、むしろ食品ロスの削減につながるとしています。

賞味期限とは、

開封の状態で保管した場合に、おいしく食べられる目安となる期限

のことで、期限を過ぎてもすぐに食べられなくなるわけではないのですが、消費者は賞味期限の表示に敏感だというのもあるようです。

この期限切れの商品が店頭に並ぶのを避けるため、食品メーカーと小売店の間では「3分の1ルール」という慣習が存在しています。

 

たとえば、賞味期間が6カ月の商品だと、卸業者は製造日から数えて賞味期間の「3分の1」にあたる2カ月以内にスーパーなどの小売店に納品し、納品が2カ月より遅れた商品は店頭に並ばず、卸業者からメーカーに返品されたり廃棄されたりしているのが現状です。

賞味期限前の商品が廃棄されているのです。

大手食品メーカーによると、返品された商品は「販売奨励金」を積んで別の小売店に買い取ってもらったり、ディスカウント店に転売したりしています。

激安商品のからくりは、このようなコンビニやスーパーから返品されたものを専門にメーカーから仕入れているというところにあるようです。

それでも引き取り手がないと、車内で無料で配布するなどしているようです。

賞味期限までの期間3分の1を過ぎただけで、商品価値は大きく下がるという風習が問題なのでしょう。

このルールは、賞味期限切れの商品が店頭に並ぶのを避けるために1990年代に始まったとされています。

欧米にも同様のルールはありますが、この「3分の1」が米国では「2分の1」、欧州は「3分の2」となっています。

昨今、日本でもこのルールの見直しがされていて、「2分の1」にする動きが出てきています。

流通経済研究所の推計では、卸業者からメーカーに返品される加工食品は2017年度に562億円(出荷額ベース)このうち2割はディスカウント店などに回り、8割は捨てられていたとのことです。

先ほどのルール変更で「3分の1」を「2分の1」にするだけで、年間4万トン(約87億円分)の廃棄が減らされるそうです。

廃棄される商品を焼却処分することで、二酸化炭素が排出されるわけで、食品廃棄が減ると二酸化炭素排出量も減ります。