Sheel Report ~ 3分で読める時事解説

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18歳・19歳新成人を守れるか・・オーナー商法原則禁止”が法律に明文化 その2

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18歳に成人年齢を引き下げ 金融詐欺

ジャパンライフ消費者庁

消費者庁には、ジャパンライフに対する苦情案件がたくさん入っていたはずです。

そのときにきちんとした対応をしていれば、こんなに被害が拡大することはなかったのに、高齢者のお金が奪われることはなかったのにということが、随分国会でも指摘されました。

戦後最大級の消費者被害事件と言われるジャパンライフ事件のたちが悪いのは、多くの政治家が、本人の意志はともかく、パンフレットやいろんな宣伝商材に登場してくることであり、これも本人の意志はともかく、多くの有名人がその宣伝に、一役かっているというところです。

極めつけが、安倍元総理の「桜を見る会」招待状です。あれだけで、どれだけの高齢者のお金が吸い上げられたかわかりません。

消費者庁の問題に関しては、朝日新聞が社説で指摘しています。

2020年9月25日付ネット記事「ジャパンライフ なぜ被害は拡大したか」です。

www.asahi.com

そこに以下のような文章が載っています。

まず問われるべきは消費者行政の対応の遅れだ。同社が販売預託商法を始めたの
は03年ごろで、09年に発足した消費者庁も相次ぐ苦情を把握していた。

14年夏には立ち入り検査が検討されたが見送りになった。その際、担当の課長
補佐が「本件の特異性」「政治的背景による余波懸念」と書いた文書を作って上
司に説明したことが後に判明。しかも補佐は翌夏に同社に再就職していた。16
年末以降、一部業務停止命令などの処分が出るようになったが、同社は網をかい
くぐって営業を続けた。

この問題は国会でも取り上げられた。しかし消費者庁は文書の真偽について回答
を拒み、政治的圧力はなかったと繰り返して、真相はうやむやになっている。逮
捕という事態を受けても、伊藤明子長官は再調査の考えはないと表明した。そん
な姿勢で被害者の納得を得られると思っているのだろうか。

また、この記事には、朝日新聞の元政治部長も宣伝商材に載っていることを明ら
かにして、当人は「多額の顧問料を受け取った」と言っていることも、書かれて
います。

ジャパンライフ事件は、完全に「政治案件」です。本当にたちが悪い、国ぐるみ
の悪質な事件だと言えそうです。

 

「オーナー商法原則禁止」は当然の流れかも

豊田商事の事件があったときに、国会では「預託法」が成立しました。そこでは

嘘をつくなどしての強引な勧誘の禁止
国が業務停止命令などの処分を出せる

となりましたが、勧誘の方法や配当の名目など、少しやり方を変えることで、法
をかいくぐることはできました。

「嘘をつく」ということには、実際には存在しない架空商品の販売も含まれます。
ただ架空ということの立証は難しいようです。

事実、豊田商事事件が社会的に大問題になったにもかかわらず、その後も、金融
詐欺時間は続いています。

販売預託商法とよばれるもので、事業者が顧客に販売した商品を預かり、別の客
に貸し出してそのレンタル料を顧客に配当する手法とされています。

実際には貸し出しの実体がなく、前述の「ポンジースキーム」であるようです。

オーナー商法そのものの存在をなくすことが大事というのは、専門家の間でも、
指摘はされてきていました。

これまでの取引実態調査から、ほぼ全てが「消費者に財産被害を及ぼす」ものと
し、とても「健全」とは言えない「詐欺的な性質の取引」だと、ようやく断定さ
れたのです。

ここで「原則」とあるのですが、「預けて運用してもらう」ものは今でも日常に
あり、それと区別するための文言になっています。

賃貸アパートを買って事業者に運営を任せるのがそうで、これは日常行われてい
るものと言えます。

株式などの金融商品を買って運用してもらう仕組みもあるようです。

ただ、今まで事件化してきた手法は、全て「禁止」という言葉に縛られるようで、
今後はできなくなります。

 

オーナー商法が「違法」になったのです。

預託法や特定商取引法改正では、「オーナー商法」原則禁止の他、インターネッ
ト通販などで「初回無料」で誘い込んで、2回目以降に高額な金額を支払わせる
詐欺的な定期購入商法の規制も強化しています。

誤解を与えない表示の徹底、違反者に懲役刑や罰金を課すことを決めています。

クーリングオフの意思表示を、メールでも可能になります。

訪問販売などでの契約書の交付をメールなどでも可能とする改正内容については、
施行までの期間をほかの規定よりも1年長い公布から2年以内としました。

詐欺につながる対象商品の規制から、行為そのものを規制したということで、被
害の防止につながることが期待されるとしています。

 

若者を詐欺被害から守るための法整備は不十分

堺次男さんが訴えてきたことは「オーナー商法の撲滅」に加えて、もうひとつあ
る...と、NHKの番組では語っています。

それは「若者に対する金融詐欺防止の対策」です。

今若者の詐欺被害は、大学のキャンパス内に広がっていて、それが高校生の年代
にまで広がる危険性があると、堺さんは指摘しているのです。

来年4月から、成人年齢が18歳にまで引き下げられます。成人になることは、それ
だけ、社会的責任が課せられるということになります。

来年の3月までは、20歳未満の未成年が親の同意なしに契約した場合、原則とし
て契約を取り消すことができます。

これが来年4月以降、18歳でも親の同意なし契約した場合、その契約に責任を持
たなければならなくなります。

金融詐欺契約でもしたら、それこそ多額の借金を背をわされて、その後の人生に
も多大な影響をもたらします。

そもそも18歳は高校生です。

学校で「契約」という行為の重要性なんか、教わってはいません。

社会の怖さを教えられてはいませんし、世の中には悪人が多く、平気で人の財産
を奪う悪徳業者があることを、教わってはいません。

金融商品が何たるかも、学校では教わりません。ローンを組むことの意味も、ク
レジットカードの使い方も、学校の先生からは教わりません。

学校という全くの無菌状態の空間という非日常の中で、作られた平等に守られた
非現実社会での正義を、教えられてきただけなのです。

世の中は理不尽でアンフェアであることも、全く触れては来てはいませんし、そ
れを教えられる教師もいません。

早急に若者たちを守る対策を講じなければ、多くの18歳が、悪徳業者の“カモ”にされてしまいます。

今回の法案では、若者対策には深くは触れてはいませんでした。

付帯決議で「若者の消費者教育に言及する」にとどまっています。

NHKの放送では、詐欺にあった若者が登場しています。

これも問題になった「AIシステムを搭載したUSBメモリー」を買わされるのです。

 

これで君も億万長者に...

このUSBメモリーにはAIによる為替予想プログラムが入っていて、これをPCに装
着すれば、為替変動を高確率で予想できるのだそうです。

買いサイン売りサインが自動で表示されるので、なにも考えなくてもよい、難し
い知識はいらないというのです。

これだけ聞けば、インチキであることは理解できるのですが、この商品説明の前
段で「夢を実現しよう」「人生の成功までの期間を圧縮しよう」「世界のお金持
ちは、みな投資で成り上がっている」などと洗脳されているのですから、もう簡
単に騙されてしまうのですね。

ましてや18歳の若者は、この一連の流れに、どれだけの違和感を感じ取ることが
できるのでしょうか。

ちなみに、このUSBメモリーが、USBメモリーがですよ、なんと50万円もするそう
です。

物体に価値があるわけではなく、その中身に無限の価値が詰まっていて、それを
たった50万円で手にすることができるのです...なんてね。

ころっと騙されますよね。

果たして、若者を守る対策として、付帯決議で若者の消費者教育に言及するだけ
で良いのでしょうか。早急になんとかしなければならない対策ではないでしょう
か。

今後のさらなる、若者に向けての法改正の動きを、注視していきたいです...