Sheel Report ~ 3分で読める時事解説

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大丈夫か、ソフトバンク...

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大丈夫か、ソフトバンク

ソフトバンクグループの社債保証コスト(CDS)が上昇基調を強めています。

CDSとは、いわば企業が破綻したときのための保障のようなもので、保険商品のようなもので、この価格が上がることは、平たく言えば、それだけ企業倒産リスクが高まったということです。

ソフトバンク社会のCDS価格は、1月中旬以来の高水準をつけたとのことです。

その背景にはウィーワークの問題があります。

 実際、ウィーワークに投資していることでソフトバンクグループの株価は下がったり、次世代を担うテクニカル企業に投資するファンドとして設立された「ソフトバンクビジョンファンド」第二弾の資金集めが、非常に難航になったりしています。

 ウィーワークを展開する米ウィーカンパニーの新規株式公開(IPO)延期

これが決定的となりました。

 

 

そもそも「ウィーワーク」とは...

洗練されたラウンジでコーヒーを飲みながら、顔見知りになったビジネスパーソンと交わした会話がきっかけとなり、新しいビジネスが生まれる・・・

いかにもそんな出合いが起こりそうなコミュニティ型ワークスペースを提供しているのが「WeWork:ウィーワーク」です。

シェアオフィスなのですが、立地場所がよくデザインがおしゃれで、空間にリッチ感があるというもののようです。

デザイン等が話題となり、「100都市に500拠点以上のオフィスを抱えるグローバルなネットワーク」がセールスポイントのようです。

コワーキングスペースとは、通常のオフィス賃貸に比べて、より小さな単位で場所を借りることができ、すでに机と椅子が設置してあり、共通の受付があり、契約期間はオフィス賃貸よりも短く、キッチン周りなどの共有スペースが大きい、という形態の共同オフィスです。

壁で区切られた固定の複数人数向けスペースや机一つ単位の固定賃貸と、決まった机がなく共有スペースだけを使える会員制契約の両方があり、一人で仕事するフリーランサーでも、契約すればその日から入居できます。

他のコワーキングスペースとの違いは、

   ペーパーレス社会に対応した高密度オフィス

で、従来のオフィススタイルにはファイルキャビネットや本棚などが必要とされていましたが、ペーパレス社会ではパソコン一つで十分、それこそ椅子と机だけあればよく、キャビネット等がない分、多くの人を迎え入れることができます。

共用スペースだけの会員制契約なら、全員が一斉に使うことはないので、椅子の数よりもはるかに多くの契約を獲得することができ、それにより「高密度」を実現することができます。

今まで標準設備とされていた固定電話や郵便受取システムがあることで会社としての体裁を整えていましたが、今はメールで事足りるわけで、ウィーワークは、不要となったものを全てそぎ落として空間の広さを確保し、デザイン性を取り入れ、低価格を含む契約形態の多様化を実現したのです。

ただこの「高密度」オフィス展開には、どれだけ多くの人を「詰め込めるか」が鍵となっています。

また単なる賃貸業の業態だけでないビジネスモデルを展開することも、事業の安定収入確保には大事な要素となります。

そのビジネスモデルがウィーワークにあったのか、今のマーケットの評価は「単なる不動産業」というレッテルが貼られているのです。

 

ソフトバンクの思惑はなんだったのか

ウィーワークのシェアオフィス店舗拡大に、多くの投資家が出資しているようで、ソフトバンクもその出資者の中の一企業だということです。

ただ現状は、上場株価を何度も引き下げたのちに上場は延期となり、超高速で新経営陣を刷新しながらも、上場はおそらく当分ないだろうという状況のようです。

創業者アダム・ニューマン氏の個人的な「奇行」も話題となっていますが、コワーキングスペースというビジネスモデルの限界なのかという点も注目されます。

  ウィーワークは単なる不動産ビジネスであり、テック企業ではない
  ウィーワークにテック企業並みの高い企業評価額をつけるのは正しくない

どうも今回の問題のポイントはここにあるようです。

ソフトバンク側から見れば、投資先の価値が下がり、ソフトバンクにも影響を及ぼしているということで、ウィーワークの企業価値低下が、ソフトバンクグループの株価を下げ、ビジョンファンドの投資事業の妨げにもなっています。

ソフトバンクは本当にウィーワークの将来性に投資したのでしょうか。

堀江貴文氏は自身のYouTubeチャンネルで、ソフトバンクの今回の投資を

   マーケットからお金を吸い上げる手段の一つ

として疑問符を投げかけています。

いわゆる企業投資とは、これから成長すると思われる企業にお金を投じ、ともに成長を見守り、企業から配当等のリターンをもらうというスキームです。

投資先となる企業は、以下のステージに分類されます。

  • ・シード:企業前の段階
  • ・アーリー:企業直後の段階
  • ・エクスパンション:事業を本格的に始める段階
  • ・グロース:事業が起動に乗り始める段階
  • ・レイター:経営が安定する段階


当然、早いステージから投資をすれば、その分大きなリターンの期待されますが、デフォルトの危険性も伴うことになります。

ソフトバンクは主に「アーリー」や「エクスパンンション」ステージの企業に投資し、「グロース」段階で売りぬいて、次の「アーリー」を探すという事を繰り返してきています。

おそらくウィーワークも、事業への共感というよりも、いろんな投資家がついて拠点拡大段階で、IPOも間近だったので、早い段階から投資をしてすぐに売りぬこうと思っていたのではないかと堀江貴文氏は指摘しています。

そもそもマーケットをファイナンスの場としすぎていることに、堀江氏は警鐘を鳴らしています。

ただ孫正義氏の天性のカンのよさで、きれいに売り抜けるだろうと、その自信がきっと孫氏にはあるのではないかとも言っていましたね。

裏を返せば、ウィーワークは長期投資先としては不適格であるとも言えます。

ウィーワークは資金枯渇の危機に直面しているとのことで、JPモルガン・チェースからの資金調達を計画しているとのことで、ソフトバンクとしても、融資には応じる構えを示しています。

ウィーワークは、ソフトバンクにとって「癌」になってしまうのでしょうか...

 

創業者の奇行が話題に...

創業者であるニューマン元CEO(今は解任されています)の最大の問題は「公私混同」であり、会社を利用して自分個人が得する仕組みをあまりにもたくさん入れ込みすぎているとのことです。

もう企業経営以前の話ですね。

プライベート・ジェット上でのマリファナ・パーティ
従業員をクビにした直後にテキーラで乾杯
妻がスピリチュアルにはまって「こいつのエナジーが気に入らない」という理由で
従業員をクビにした
会社パーティが過度なド派手

もういろいろな話が登場してきます。

この点から見ても、本当にソフトバンクは大丈夫なのでしょうか...