Sheel Report ~ 3分で読める時事解説

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米国はヒューストン、中国は成都にある双方の総領事館を閉鎖、その背景には中国の産業スパイ疑惑が...

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米国総領事館

中国外務省は7月27日、南西部・四川省成都の米国総領事館が27日午前10時(日本時間午前11時)に閉鎖されたと発表しました。

米政府が7月21日、ヒューストンの中国総領事館の72時間以内の閉鎖を命じ、24日に閉鎖をしたことへの対抗措置としています。

米中対立が深まるなか、両国交流を担う在外公館が1か所ずつ活動を停止する事態となりました。

 

米南西部テキサス州ヒューストンの中国総領事館がスパイ活動の拠点になっているとして、米政府が閉鎖を命じたことへの対抗措置としています。

 言葉の整理ですが、大使館と領事館の違いは、大使館と公使館は、外交使節が外交のために使う施設で、 いわゆる治外法権とか、外交官特権が適用されます。

 総領事館、領事館というのは、相手国の国内に居る邦人の保護や通商関係の援助、査証(ビザ)の発行(これらを領事事務といいます)のための事務所で、これは外交のためでなくあくまでも領事事務の為の機関です。 

中国政府は米国の措置に「一方的な挑発で、重大な国際法違反だ」と反発し、成都の米総領事館を27日午前までに閉鎖するよう24日午前に通告しました。 

報復措置とは言えないので、中国外務省の報道官は、米総領事館の館員が「身分にふさわしくない活動」に従事し、中国の安全を損ねたと根拠を明示せずに主張しています。 

米中は双方の首都の大使館のほか、5か所に総領事館を置き、自国民の保護や査証(ビザ)の発給、企業交流などを支援してきました。

ヒューストンの中国総領事館閉鎖は産業スパイの疑いがあるから

ヒューストンと言えば、ジョンソン宇宙開発センターがすぐに思い浮かびますね。 

ヒューストンには世界最大の医療機関の集積地「テキサス医療センター」があり、大学などの研究機関も集まっています。 

ヒューストンの中国領事館を閉鎖させたのは、中国による産業スパイ行動が確認されたからだとされています。背景には、新型コロナウイルスのワクチンを世界に先駆けて市場投入したいという中国の野望があるという見方があるようです。 

 

中国には、海外の中国人研究者や技術者を、破格の待遇で呼び寄せるプログラム「千人計画」というのがあります。 

正式には「海外ハイレベル人材招致「千人計画」The Recruitment Program for Innovative Talents (Long Term)」と呼ばれるものです。 

2008年12月から実施されているもので、「千人計画」に関しては 

海外の企業と大学に勤務する研究者や技術者、知的財産と技術保護担当の中国人幹部を対象者に選び、中国の科学的発展に貢献させる“超ハイレベル人材”

 となっています。 

中国から優秀な人材を海外に派遣して、そこでの超高度レベルの技術を学ばせて、中国に呼び戻すことで、中国産業の発展に寄与してもらうというものです。 

近年、中国は科学技術の飛躍的な進歩を目指し、中国人や外国人の研究者を囲い込む作戦を組織的に進めてきました。 

ヒューストンの総領事館員は直接、研究者との連絡に携わり、収集すべき情報について指示を出していたと高官らは言いいます。 

売国当局による中国のスパイ摘発は他でも行われています。 

ヒューストンの中国総領事館24日には、サンフランシスコ総領事館に潜伏していた中国人研究者で中国空軍の将校でもある人物が逮捕されています。FBIはその数日前にも、中国軍の関係者であることを隠しビザを不正取得していたとして3人を逮捕しています。

 

成都ウイグルが近く核施設も...

成都の米総領事館は現地職員を含め約200人が勤務し、四川省重慶市チベット自治区など、中国南西部を管轄しています。 

成都市がある四川省には核施設もあります。 

香港や上海の領事館を閉鎖しなかったのは、中国としても、米国との全面戦争は望んでいないのではないかという見方もあります。 

米国のリーダーはトランプ大統領だけに、今起きていることを額面通りに受け止めてよいのかどうかはわかりません。 

自身の選挙のための道具として、対中強行をポーズしているだけかもしれません。中国が米国の農産物大量購入の約束を取り付けたら、態度が変わるかもしれません。 

中国にしても、どこまで本気で米国と対立しているのかわかりません。 

ただ、この米中双方の領事館を一つずつ閉鎖したという事実は、私たちはとりあえずは確認しておきましょう...